絵の具でアトピー・喘息に|子供の体が危ない!
絵の具を選ぶとき、ご自身が馴染みのあるメーカーの商品を何気なく選んでいませんか?また、絵の具に何が入っているかを気にされたことはありますでしょうか?
絵の具も、食べ物と同じように安価なものは、安価な材料を使用して作られます。
そして本来必要の無かったものが添加されることになります。
例えばハンバーグであれば、材料の中では肉が一番高コストです。ですから、安価なハンバーグを作るときには、まず肉の量が減らされます。
そして、肉の量を減らすために増量剤を、肉の量が減ったために肉の風味が不足し、合成香料・化学調味料を、練ったときの粘り気が不足し、増粘剤を、肉の色味が不足し、着色料を、という風に、肉の材料費を抑えるために様々な食品添加物が使用されます。
さらに日持ちさせる(廃棄までの時間を伸ばす)ために保存料も添加されます。
その食品添加物には、健康を害すると確認されている物が含まれています。また、複数種類を長期間摂取すると私たちにどのような影響を与えるのかについては公表されていません。
口に入るもので、そのような状態です。
では口に入れることを想定しない絵の具はどうなのでしょうか?
小学校に入れば水彩絵の具を教室(狭い空間)で使うことになります。
さらに、絵を描いている間に手に付いたりすることもあるでしょう。
こちらのページでは、子供がよく使うことになる水彩絵の具について、材料からご紹介します。
なお、幼い子供や、アトピー・喘息・化学物質過敏症の子に安全な絵の具をすぐに知りたい方はこちらをクリック下さい。(本ページの最後になります)
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絵の具の普及とともに、危険な化学物質が含まれるように
日本の水彩絵の具は、固形水彩絵の具が先に登場し、その後金属チューブ、樹脂チューブへと移り変わってきました。
固形水彩絵の具
乾燥させた絵具を粉砕し固めたものと、絵具に保湿剤であるグリセリンを含ませたもの、の2種類があります。
チューブ入り絵の具が登場
1930年代からアルミ製チューブが登場したが、絵具の種類により腐食が起きること、戦時中であり、アルミは軍用機に使用することとなり、1940年代からは錫(すず)を張った鉛チューブが登場したのです。しかし、のちに鉛の毒性について広く認知され、最も遅いメーカーで1995年に現在のポリチューブへと移行しました。
鉛の毒性
体の小さな子供への影響がとても大きく、死亡する濃度の約10%で、注意持続時間・記憶低下・学習障害・知能指数の低下などの認知障害を起こすことがあります。
また、乳児期の弱い鉛中毒から回復した子供の検査では、はっきりとした鉛中毒症状は無くなりましたが、神経の発達には重い障害が残り、20人中1人しか学校で満足に進級できず、さらに、多くの子供たちは情緒的に障害を受けていた、との報告があります。
チューブ入り水彩絵の具の材料
基本は、固有の色を持った粉末の顔料と、それを画面に定着させるための接着剤(バインダー)になり、バインダーにアラビアゴムを、さらに、保湿剤としてグリセリンが使用されます。
アラビアゴム
アフリカのスーダン:コードファン地方にのみ生育するアカシア科の植物から淡褐色の球界として採取される天然樹脂。
水彩絵の具以外に食品の乳化剤としても使われる。
このアラビアゴムの輸入価格は1993年には1㎏650円もしており、安価な絵の具には代替として澱粉から作られるデキストリンが使用されています。
(アラビアゴムとデキストリンの価格差は約20倍)
この代替品であるデキストリンは腐りやすいため、防腐剤の使用が必要となります。
なお、「防腐剤」は食品、歯磨き粉、化粧品など様々な製品を長期間安定して保存・使用するために必要なものなのですが、常に安全性が問われているものにもなります。
さらに、防腐剤を効果的に使用するためなどに、湿潤剤としてグリコール系溶剤が使用されています。安全な顔料の選別が進む中、現在児童用として売られている絵の具の材料の中で特に危険性が指摘されるのは、この「グリコール系溶剤」と「防腐剤」になります。
ではどういった化学物質が使われているのか紹介していきます。
水彩絵の具組成物を確認する
以下、ぺんてる株式会社の「水性絵の具組成物 2012-31228」に記載されている化学物質を紹介します。※2018.8現在、こちらのファイルは削除されています。
これらの化学物質を組み合わせて使用しているようです。
では水彩絵の具に使われている化学物質の毒性を、SDSで確認していきます。
SDSとは
有害性のおそれがある化学物質を含む製品を他の事業者に譲渡又は、提供する際に、対象化学物質等の性状や取り扱いに関する情報を提供するための文書
日本では、導入当初は化学物質等安全データシート(MSDS)と呼ばれていたが、2012年4月に、SDSに統一
引用:Wikipedia
グリコール系溶剤
エチレングリコール
- 軽度の皮膚劇
- 目刺激
- 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
<1回の暴露>
臓器(中枢神経系、呼吸器、腎臓、心臓)の障害
誤飲後 34 日以降に意識障害、痙攣、昏迷状態がみられ、血液科学的検査では尿素窒素、クレアチニン及び尿酸が増加、尿検査で蛋白尿及び血尿がみられ、腎障害が認められている。
腎生検で尿細管に組織学的変化がみられている。また、肺の軽度なうっ血がみられた。急性影響は 4 段階に分けられる。まず曝露後 30 分から 12 時間後に起こる中枢神経系への作用、次に曝露 12-36 時間後に起こる心肺系への影響、さらに第 1 及び第 2 段階で死亡。死亡を逃れた者にみられる腎臓障害、そして中枢神経系の変性。
<繰り返して暴露>
長期又は反復ばく露による臓器(中枢神経系、呼吸器、心臓)の障害。
ヒトについては「意識消失、眼球振とう」「軽い頭痛と腰痛、上気道の刺激」
実験動物については「肺及び心臓に炎症性の変化」
引用元:三協化学 SDS
プロピレングリコール
詳細はこちらをどうぞ
⇒ その歯磨き粉、子供の口に入れても大丈夫ですか?)内 プロピレングリコール
ジエチレングリコール
- 軽度の皮膚刺激
- 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
- 長期又は反復ばく露による肝臓、腎臓の障害
ラットに 2 年間の経口曝露により、生存率の低下とともに膀胱腫瘍あるいは腎臓腫瘍の発生。
マウスを用い交配前からの曝露による2世代生殖試験において、同腹児数の減少に加え、脳ヘルニア、口蓋裂の頭蓋顔面奇形が観察された。口蓋裂はハムスターの妊娠 8 日目の腹腔内投与でも報告されている。これらの影響が現れた用量では同時に母動物の体重減少、ハムスターでは死亡が見られ、即ち、親動物での一般毒性が発現する用量で明確な生殖毒性が記述されている。
ラットの反復経口曝露による特徴的な所見として、シュウ酸の排泄増加とともに尿中にシュウ酸カルシウム結晶が形成され、腎障害(ネフローゼ)が見られたと報告されている。
曝露が長期に及ぶと膀胱結石も観察され、また、腎臓に比べ軽度ながら肝障害の記述も一部にある。
一方、ヒトでは本物質の曝露に関して複数の疫学調査が実施されており、多数の死亡例、進行性の腎障害と最終的に腎不全、一部の報告では肝障害が報告されている。
引用元:厚生労働省職場のあんぜんサイト
トリエチレングリコール
- 目刺激
- 呼吸器刺激
引用元: 三井化学 GPS 安全性要約書
ポリエチレングリコール
- 眼刺激
- 軽度の皮膚刺激
引用元:独立行政法人 産業技術総合研究所 SD
ジエチレングリコールモノメチルエーテル
- 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
- 眠気又はめまいのおそれ
引用元:純正化学㈱ SDS
トリエチレングリコールモノメチルエーテル
- 眼刺激
- 皮膚の乾燥
- 呼吸器への影響・発がん性・生殖毒性・反復ばく露についてはデータ不足。
参考: 独立行政法人 製品評価技術基盤機構
ジエチレングリコールジメチルエーテル
- 目刺激
- 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
マウスの吸入による実験にて妊娠数の減少。経口投与による実験ではマウス、ラットともに胎児の奇形が認められる。また、吸入・経口投与試験により、中枢神経への作用から、落ち着きのない状態等の症状が認められた。
引用元:純正化学㈱ SDS
防腐・防カビ剤
3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメイト
白アリ防除剤、抗菌・抗カビ剤として、農薬、シャンプー、化粧品、プラスチック、塗料、合板などに使われています。
- 皮膚刺激:微かな刺激性
- 目刺激 :激しい刺激性
引用元:国立環境研究所
長期暴露については研究報告無
クロロアセトアミド
- 飲み込むと有毒
- 皮膚刺激
- 強い目刺激
- アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
- 生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い
- 水生生物に有害
モルモットの皮膚試験において、初回で陽性率60~80%、2回目で陽性率80%と、動物で高率の反応が見られ、本物質は皮膚に強い反応を有すると結論された。
さらに、本物質は切削油剤、塗料、接着剤などで防腐剤として、また、皮革の防腐剤として使用され、理髪師や製靴業者に接触皮膚炎を起こす可能性があり、皮膚感作性物質として掲載されている。
2系統のラットを用い、妊娠13、14日目に50 mg/kgを皮下投与した試験で、出生前の仔の発生に及ぼす影響は見られなかったが、2系統共に出生後に仔の約半数に死亡をもたらしたと報告されている。
カナダでは本物質は2009年に使用禁止となっており、再度市場に出す場合は評価が必要としている。
参考・引用元 安全衛生情報センター
2-ピリジンチオール-1-オキサイド・ナトリウム塩
- 飲み込むと有害
- 吸入すると生命に危険
- 皮膚刺激
- 強い目刺激
- アレルギー性皮膚反応を起こすおそれの疑い
- 神経系の障害
- 長期にわたる、または反復ばく露による神経系・呼吸器系の傷害
ラットの急性経口毒性試験におけるLD50値は177 mg/kgで、活動低下、立毛、筋脱力、下痢の症状が報告されている。一方、本物質について急性または亜急性の経口投与後に明らかな神経系障害が観察されているとの記載、また、ブタの静脈内投与(5 mg/kg)によるデータであるが、投与後30~60分にコリン作動性の影響がみられたとの報告と併せ、ラットに経口投与後の上記症状も神経系に関連する。
引用元 厚生労働省職場のあんぜんサイト SDS
デヒドロ酢酸ナトリウム
- 飲み込むと有害
ラットの妊娠6~17日に経口投与した試験で、母動物および胎仔の体重増加が抑制され、胎仔の骨格変異も発生したが、催奇形性は認められなかった。また、マウスの妊娠6~15日に経口投与した試験では、高用量(200 mg/kg)で胎仔死亡が増加し、全用量で14肋骨が認められた。
引用元 HP独立行政法人 製品評価技術基盤機構
安息香酸ナトリウム
詳細はこちらをどうぞ
>> その歯磨き粉、子供の口に入れても大丈夫ですか?)内 安息香酸ナトリウム
ソルビン酸ナトリウム
食品添加物
ソルビン酸カリウム
- 飲み込むと有害のおそれ
- 皮膚刺激
- 強い目刺激
引用元:米山薬品工業 SDS
2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール
- 飲み込むと有害
- 吸入すると生命に危険
- 皮膚刺激
- 重篤な眼の損傷
- 呼吸器への刺激のおそれ
- 長期又は反復ばく露による呼吸器系の障害のおそれ
- 水生生物に毒性
ウサギを用いた20%水溶液の24時間適用の皮膚刺激性試験において中等度~重度の刺激性が認められている。
ラットに経皮ばく露後、努力性呼吸、肺のうっ血があり、吸入ばく露(ミスト)では呼吸困難、肺炎など呼吸器系症状が発生。引用元:独立行政法人 製品評価技術基盤機構
どう思われましたでしょうか?これらの成分を含んだ絵の具を、教室で一斉に使用するのです。
毒性が軽いものでも皮膚に刺激のあるものがほとんどです。アトピーになっている本人はそんなことは知らずに使い、悪化させます。絵の具
化学物質に弱い子供が使えた絵の具
どの商品でもそうなのですが、液体に溶かした状態で保存する商品には、どうしても防腐剤などを添加せざる得ません。
そして防腐剤は、いくら薄めてあるとはいえ、基本的に体に害のある化学物質が使用されています。ですから、一番良いのは液体の商品を選ばないことです。
幼児期に使えた絵の具
化学物質に反応しやすい私の子供が3歳頃から使っているのは、ドイツのシュトックマー社製の絵の具です。シュトックマー社は「安全であること」に徹底している会社になります。
こちらは屋内で使用しても、特に揮発成分を感じませんでしたし、神経系の反応も出ません。
保育園や学校で使っている絵の具
保育園や小学校に上がりますと、チューブ入り絵の具を使います。そこで選びましたのが、長野県千曲市にある㈱まっちの商品です。
こちらの会社は「子供のために」をコンセプトに、できるだけ安全な材料を選んでおられます。当然、上記しました危険な化学物質は不使用です。
また、安価な材料を使用していないため、混色しても彩度が低下せず、鮮やかな色が出ます。
ただ、こちらの商品は防腐剤として含窒素イオウ化合物(3種類)を使用しています。
そのせいなのか、こちらの商品に含まれるグリセリンや尿素などのせいなのかはわかりませんが、屋内で使用すると空気が少し悪くなるように感じます。ですからこちらの商品は、できれば屋外で使用された方が良いと思います。
とはいえ、一般に販売されている児童用とは比べ物にならないほど安全です。
決して安くはありませんが、子供の体に害の少ないものをあげたいですね。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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