油性ペンで不妊?子供には使わせないで!
家庭や保育園・学校等で多くの方が何の疑問も持たず使っている油性ペン。
水性ペンでは書けない場所に書くことのできる油性ペンはとても便利です。しかし、油性ペンの材料を考えてみたことはありますか?
メーカー側は購入者の利便性を追求し続けています。
とてもありがたく、嬉しいことなのですが、残念ながら私たち消費者も含めて利便性>安全性となってしまっている現状があります。
ただ油性ペンは危険だから絶対に使ってはいけない!という極論をお伝えしようとしているわけではありません。(全く害の無い、安全な材料で作って欲しい!と思ってはいますが)
何が含まれているのかを知って頂き、水性ペンで書ける場所にわざわざ油性ペンを使用したり、妊娠を希望している夫婦や妊婦・子供は油性ペンを使用しない、などの限定的な使い方をして欲しい、という思いで、油性ペンに何が含まれているのかを紹介させて頂きます。
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油性ペンに使われる有機溶剤が体に与える影響
油性ペンのインクには、有機溶剤、染料・顔料、樹脂、添加物(導電付与剤・可塑剤・酸化防止剤・紫外線吸収剤)など様々な化学物質が使用されています。
その中で、今回は有機溶剤に焦点を当ててみます。
油性ペンに使用される有機溶剤はアルコール系・グリコールエーテル系・エステル系の3種類があります。
その3種類ある有機溶剤には、それぞれいくつもの化学物質があるのですが、主溶剤として下記の化学物質が使われているようです。
参考:筆記用具油性インク組成物
なお引用元に”SDS”と言うのが出てきますが、”SDS”は、安全データシート(Safety Data Sheet)のことです。
SDS(安全データシート)とは
有害性のおそれがある化学物質を含む製品を他の事業者に譲渡又は、提供する際に、対象化学物質等の性状や取り扱いに関する情報を提供するための文書
日本では、導入当初は化学物質等安全データシート(MSDS)と呼ばれていたが、2012年4月に、SDSに統一
引用:Wikipedia
なおSDSは、毒性を持つ化学物質について発行が義務付けられている書類となります。ですから、SDSが存在する時点でその化学物質には何らかの害があるということにもなります。
また、「生殖能又は胎児への悪影響のおそれ」のある化学物質の実験結果として「吸収胚の増加」と出てきますが、これは、受精卵が子宮に着床後、成長が止まり、母体に吸収されることです。
では、使用されている化学物質を紹介していきます。
<アルコール系>
エチルアルコール(エタノール)
- 強い眼刺激
- 遺伝性疾患のおそれ
- 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
- 呼吸器への刺激のおそれ
- 眠気又はめまいのおそれ
- 長期又は反復ばく露による肝臓、神経の障害のおそれ
引用元:㈱ベリタス SDS
エチルアルコールは、エチレンから化学的に合成されたものと糖蜜を発酵させたものがありますが、こちらではエチレンから化学的に合成されたものを使用。
糖蜜から発酵させたエチルアルコールでも赤ちゃんや子供は体調不良になります。石油から作られたエチルアルコールはさらに影響が出るでしょう。
< 関連記事 >
>> 揮発したエチルアルコールでも体調不良に
ノルマル-プロピルアルコール
- 重篤な眼の損傷
- 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
- 呼吸器への刺激のおそれ
- 眠気やめまいのおそれ
ラットを用い、雄は 6 週間吸入ばく露後に非ばく露の雌と交配、雌は妊娠 1 日目~9 日目に吸入ばく露 を行った試験において、母動物の体重増加抑制や摂餌量の減少など一般毒性の発現用量で、雄の生殖能低下、吸収胚の顕著な増加が報告されている。
引用元:タカラバイオ㈱ SDS
イソプロピルアルコール(2-プロパノール)
- 飲み込むと有害のおそれ
- 皮膚に接触すると有害のおそれ
- 強い眼刺激
- 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
- 中枢神経系、腎臓、全身毒性の障害
- 呼吸器への刺激のおそれ
- 長期又は反復ばく露による血管、肝臓、脾臓の障害のおそれ
ラットでの試験では、親動物に体重増加の低下、麻酔作用等の毒性を示した用量で、妊娠率の低下、吸収胚の増加、胎児死亡の増加等の生殖毒性が認められた。
ヒトでの経口摂取による急性中毒では消火管への刺激性、血圧、体温等の低下、中枢神経症状、腎障害が認められている。
引用元:昭和化学㈱ SDS
イソブチルアルコール(2-メチル-1-プロパノール)
- 飲み込むと有害のおそれ
- 皮膚に接触すると有害のおそれ
- 吸入すると有害のおそれ
- 皮膚刺激・強い眼刺激・眠気又はめまいのおそれ
- 呼吸器への刺激のおそれ
ヒトへの蒸気ばく露例で眼刺激性及び角膜の変化がみられた。
ヒト暴露例で咽頭の刺激が観察されたとの記述から、気道刺激性があると考えられた。
また、ラットを用いた神経毒性試験で3000ppm 6時間暴露により活動性低下および驚愕反射の反応低下が認められた。
引用元:昭和化学㈱ SDS
sec-ブチルアルコール(2-ブタノール)
- 眼に対する重篤な損傷
- 眼刺激性
- 生殖毒性
- 気道刺激性
ヒトで皮膚感作性を示すごく小数の症例報告がある。
ラットの妊娠期間に吸入ばく露した試験では、母獣毒性がみられる用量で生存仔の減少及び吸収胚の増加が認められた。
引用元:昭和化学㈱ SDS
tert-ブチルアルコール(2-メチル-2-プロパノール)
- 強い眼刺激
- 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
- 呼吸器への刺激のおそれ
- 眠気又はめまいのおそれ
単回暴露:
この物質は目を刺激する。中枢神経系に影響を与えることがある。 高濃度の場合、意識低下を引き起こすことがある。
反復暴露:
反復または長期の皮膚への接触により、皮膚炎を引き起こすことがある。引用元:キシダ化学㈱ SDS
tert-アミルアルコール(2-メチル-2-ブタノール)
- アミルアルコールは、低級アルコール中では最も毒性が強く、エタノールの約 8 倍の毒性があることが報告されている。
- 液体及び蒸気は、眼,気管粘膜を刺激し、頭部充血,頭痛,眩暈,嘔気,嘔吐,下痢を起こさしめ、呼吸が偏平となり、複視,無感覚,譫言を発し、重症では致死する。
- 空気中に蒸気が 1/10,000 存在していると既に臭気が強く,眼,鼻,咽頭粘膜を刺激して咳をおこす。
- 皮膚からも吸収される。
- 環境影響:水質汚濁、水生生物に有毒。
引用元:純正化学㈱ SDS
<グリコールエーテル系>
エチレングリコールジエチルエーテル(1,2-ジメトキシエタン)
- 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
- 眠気又はめまいのおそれ
マウスの器官形成期に経口投与した試験において、母動物に対して毒性が認められない用量において、仔に対する手足の奇形や脳脱出などが認められている。
引用元:厚生労働省職場のあんぜんサイト SDS
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル
- 皮膚に接触すると有害・吸入すると有害
- 皮膚刺激
- 眼刺激
- 血液の障害
- 長期にわたる、または、反復ばく露により血液の障害のおそれ
雌雄の成体の性機能及び生殖能、仔に対する影響が観察されている。
ラットの蒸気による吸入ばく露試験(4時間)において、160ppm(0.68mg/L))で血尿、及び腎臓に重度の障害が認められ、また別のラットの蒸気による吸入ばく露試験(4時間)で、80ppm(0.34mg/L)では溶血作用が見られ、その結果出現したヘモグロビン円柱により腎臓障害を引き起こす。
引用元:厚生労働省職場のあんぜんサイト SDS
プロピレングリコールモノメチルエーテル(1-メトキシ-2-プロパノール)
- 吸入すると有害
- 眼刺激
- 呼吸器への刺激のおそれ
- 眠気又はめまいのおそれ
単回暴露:
この物質と蒸気(高濃度)は眼・皮膚・気道を刺激する。非常に高濃度で暴露すると、中枢神経系の機能低下を生じることがある。引用元:キシダ化学㈱ SDS
<ケトン系>
メチルn-プロピルケトン(2-ペンタノン)
- 飲み込むと有害
- 吸入すると有害(蒸気)
- 吸入すると有害のおそれ(ミスト)
- 軽度の皮膚刺激
- 強い眼刺激
- 眠気又はめまいのおそれ
- 呼吸器への刺激のおそれ
- 飲み込み、気道に侵入すると有害のおそれ
引用元:昭和化学㈱ SDS
ジ-n-プロピルケトン(4-ヘプタノン)
- 強い眼刺激
- 吸入すると有害
- 呼吸器への刺激のおそれ
- 眠気又はめまいのおそれ
中枢神経系, 眼, 肝臓, 皮膚に影響。
引用元:Santa Cruz Biotechnology, Inc, SDS
<エステル系>
酢酸n-プロピル
- 眠気やめまいのおそれ
- 水生生物に有害
短期暴露:蒸気は眼、気道および皮膚を軽度に刺激する。中枢神経系に影響を与えることがある。許容濃度をはるかに超えて暴露すると、意識低下を引き起こすことがある。
長期又は反復ばく露:皮膚の脱脂を起こし、乾燥やひび割れを生じることがある。
引用元:SDS
酢酸イソプロピル
- 眼刺激
- 皮膚刺激
- 臓器(中枢神経)の障害のおそれ
- 呼吸器への刺激のおそれ
- 長期又は反復ばく露による臓器(呼吸器系、肝臓)の障害のおそれ
ヒトで皮膚の乾燥、発赤、ひび割れ、重症な化学火傷の原因となるおそれがある
ヒトにおいて眼を刺激性にし、発赤や化学火傷の原因となりうる引用元:三協化学㈱SDS
酢酸n-ブチル(酢酸ブチル)
- 吸入すると有害
- 眼刺激
- 呼吸器、中枢神経系の障害のおそれ
- 水生生物に有害
ラットおよびウサギの妊娠期間あるいは器官形成期の吸入ばく露により摂餌量の低下、ラットでは体重減少と胎児長減少、肋骨形成異常(波状、癒合、分岐)の増加、ウサギでは胆嚢の形態およびその他の異常(網膜ひだ、胸骨の非対称癒合)などが見られたが、これらは奇形ではなく変異と見られており、催奇形性を含め仔の発生に及ぼす悪影響は観察されていない。
ヒトで職業ばく露によるめまい、胸痛、頭痛、嘔気などの症状、あるいは神経行動学的影響がばく露と関連していることを示す疫学調査の報告がある。
引用元:職場のあんぜんサイト SDS
酢酸イソブチル
- 吸入すると有害のおそれ(蒸気)
- 軽度の皮膚刺激
- 眼刺激
- 水生生物に有害
引用元:職場のあんぜんサイト SDS
油性ペンを使う時は、場所・使用者をよく考えて
有機溶剤の主溶剤として使われている化学物質に毒性の無いものはありません。
眼や皮膚に刺激があるだけでなく、生殖能への悪影響のおそれがあったり、中枢神経系の傷害のおそれがあったりと、子供の将来を想うと油性ペンは使わせてはいけない、または子供の周りで使ってはいけない、ということがわかると思います。
当然ながら、アトピー性皮膚炎・喘息・化学物質過敏症の方は上記の化学物質によって症状が悪化します。
ですが、保育園や学校などでは子供の前で使ったり、子供に使わせたりしています。
何十人もの子供たちが教室内で一斉に使うとどうなるか、想像ができると思います。
なお、油性ペンの使用上の注意事項として、長時間使用するときには換気をするように、とあります。1つのペンをしばらく使用するより、何十人もの子供たちが一斉に使う場合の方が危険性は増します。
私は、換気の行き届いていない教室内でそれらの溶剤を含んだものを使用するべきでない、と、個人的に思っています。
ただでさえ、保育園や学校での換気量不足は深刻です。
< 関連記事 >
>> 換気量不足|二酸化炭素濃度上昇で眠気・集中力低下・慢性疲労に
また、今回は有機溶剤の主溶剤のみご紹介させていただきました。
実際には、1つの製品にその他様々な化学物質が使用されます。そして、それぞれが子供の将来に不安を覚える化学物質が使われています。
油性ペンを使用するとき、わざわざ屋外に出る方は少ないでしょう。(私はそうしますが)
屋内であれば、充分な換気をしない限りそれらの成分を吸い続けることになります。気化し屋内の空気に拡散し、濃度が薄まっているだけで、すぐに分解され無くなるわけではないのですから。
よく、本当によく考えて、時・場所・使用者を選んであげてください。
ちなみに我が家では、食用染料インキを使用したサクラクレパス カラーサインペンツイン 12色 SK-T12を使っています。
細字と太字のツインタイプですので使い分けができます。
そしてゴミ袋などに名前を書くときには、三菱鉛筆 水性ペン プロッキーツイン 8色 PM150TR8CNを使っています。
こちらも特に臭いも無く、ゴミ袋に書いた後数分間触らなければインクはしっかりと付き、取れませんから便利です。(逆に言いますと、書いてすぐには定着しませんので触らないように気を付けて下さい)
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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