酒精添加の醤油や味噌がアトピー、喘息の原因にも
日本語名称での「酒精」は、国際化学命名法でエチルアルコール、慣用名でエタノールになります。呼び名は違いますが、同じものです。
この酒精は、微生物の繁殖を抑える働きがあるため、食品添加物として使用されています。
また「酒精」が添加された食品は多種にわたるのですが、日本食には欠かせない味噌や醤油にも添加されていることはご存知でしょうか?
そして、酒精が添加されていない味噌や醤油があることも。
違いは何でしょうか?そして体への影響は?
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酒精を添加するわけ
本来醤油や味噌は、自然にまかせ、1年以上かけてじっくりと熟成させて出来上がります。
対して工業生産される味噌や醤油は、短期間で製品としコストダウンを図るため加温し強制的に発酵させる速譲(そくじょう)または温譲(温譲)という方法を取ります。そうしますと味噌は2か月~3か月で、醤油は6か月程度で製品として販売することができます。
また、天然醸造の味噌や醤油は、ゆっくりと熟成を重ねている間にエチルアルコールを自然に発生させ、酵母の働きをゆっくりと止めたり、醤油の白カビが発生しないように防腐剤として働いたりするのですが、強制発酵させる速譲ではそういった働きはありません。
そのため速譲で作られた味噌の酵母は、容器に包装された後でも死滅せず、呼吸を続け、炭酸ガスを発生させます。そのため容器が膨張し商品価値が下がるため、酵母の再活動を抑制するために酒精を2~3%添加するのです。
そして、速譲で作られた醤油は上記のように白カビの発生を抑えたり、開栓後の保存性を持たせるために保存剤として1~3%添加します。
としますと、天然醸造、速譲の両方に「エチルアルコール」が含まれることになります。何が違うのでしょうか?
自然発生のエチルアルコールと醸造用アルコール(酒精)の違い
酵母の働きを止める働きをするエチルアルコールが天然醸造の味噌にも含まれるのであれば、酒精を添加している味噌とは「エチルアールコール」が含まれる、という点では違いが無く、どちらを選んでも反応は同じような気がします。
しかし実際には、天然醸造の酒精無しの味噌や醤油を使って調理をしているときには、赤ちゃんがぐずることも、アトピーや喘息の症状が出ることもありません。
それはなぜなのでしょうか?
実は「エチルアルコール」は製造方法によって2種類が存在し、それぞれは全く違うものなのです。
エチルアルコール=醸造アルコール
エチルアルコールは、酒に添加される際には醸造アルコールと表示されます。添加の目的としては、増量やアルコール度数の調整のためだけでなく、香りの引き出しや、辛味を与え、味の切れを良くし、すっきり感を出すためにも利用されます。
なお、日本酒へのアルコール添加は江戸時代初期まで遡ることができるのですが、当時は本格焼酎が添加されていました。添加の目的としては、日本酒が貯蔵中に白濁する腐造を防いだり、味わいを軽快にするために行われていたと言われています。
醸造アルコールには本格焼酎と新式焼酎の2種類がある
上記の江戸時代初期に添加されたアルコールは単式蒸留の本格焼酎(焼酎乙類)になります。
本格焼酎は仕込みから蒸留まで約20日間かかり、さらに熟成期間が必要となり、アルコールの刺激臭減少のために早くても3か月、香味の安定と丸味の増加のために通常半年から3年程、さらには3年以上かけさらなる丸味の増加と呼吸の香味が形成されてから商品となります。
対して、明治初期の文明開化とともに欧米より薬品としてもたらされたエチルアルコールが、1912年、日本酒精㈱による連続式蒸留の新式焼酎(焼酎甲類)が誕生し、飲用として脚光を浴びることになりました。
こちらは蒸留まで3~4日となり、アルコール分10%ほどの発酵液ができます。この発酵液を連続式蒸留器でアルコール分約97%の蒸留限界近くまで生成しエチルアルコールができます。
そのエチルアルコールは通常、熟成期間を取ることなく、水を加えてアルコール分を36%未満にさげ、焼酎甲類となるのです。
ですので、単式蒸留と連続式蒸留とでは、同じ「焼酎」であっても、製造方法・期間が異なり、風味や味共に完全に別物、となります。
また、製造方法の違いは、原料の違いにもなります。
新式焼酎の原料に遺伝子組み換えのGMトウモロコシ
本格焼酎の原料は麹(こうじ)と主原料である米や麦をはじめとする穀類、甘藷(かんしょ)や馬鈴薯(ばれいしょ)のようないも類、清酒製造の副産物である白ぬかや酒かすのような加工原料、黒糖のような糖質原料、木の実などが使用されます。
その主原料によって焼酎の特徴が決まります。
対して連続式焼酎の原料は、サトウキビから砂糖を製造する過程でできる産業廃棄物である廃糖蜜(サトウキビの搾りかす)やトウモロコシが主となります。
最大の問題は、その原料であるトウモロコシが各種アレルギーやガン・生殖機能低下に関係があると言われている、遺伝子組み換え=GMトウモロコシが使われていることです。
遺伝子組み換えGM作物(GMO)
遺伝子組み換えにより、特定の除草剤に対し枯れないよう耐性を持たせたり、殺虫成分を作物自体に組み込み病害虫耐性を持たせたり、貯蔵性増大などの性質を持たせた作物。
GM作物の販売元で有名なのは、アメリカのモンサント社であり、除草剤ラウンドアップの製造元でもある。よって、モンサント社が販売するGM作物の除草剤耐性はラウンドアップに耐性を持たせていることになり、種とセットで販売される。
また最近では、連続式焼酎はブラジルや東南アジアなどであらかじめ発行と簡単な蒸留をおこない、その後日本で精製され製造されています。
なお、ブラジルのGMトウモロコシの作付面積は、アメリカに次いで世界第2位となります。
揮発したエチルアルコールでも体調不良に
甲類焼酎を飲んで体をアルコール中毒になったり、体を壊したりする方がいるのはご存知だと思います。
飲んだ方がなぜ体を壊してしまうのかは、原料からおおよその判断ができます。
しかし、飲んでいないにも関わらず体調を崩す場合があります。
醸造アルコール(エチルアルコール)が味噌や醤油に使われている場合、室温でも揮発するエチルアルコールは加熱すればさらに揮発が促進され、VOC(揮発性有機化合物)として屋内に漂うことになります。
天然醸造で作られたお酒でさえ、日本人の約半分がアルコールを処理する能力が弱いと言われており、飲みすぎに注意するように言われています。
また、赤ちゃんや子供はアルコールを分解する能力が未熟な為、飲ませたりしてはいけないことはご存知だと思います。しかし、呼気や皮膚からも吸収するということも頭の隅に置いて頂けますと助かります。
なお、現在の住宅は高気密化が進んでいますので、換気量に気を付けないと屋内のVOC濃度は上昇し続けます。逆にいますと、エチルアルコールは空気中に揮発し存在し続けます。すぐに無くなるわけではありません。
ちなみに、エチルアルコールの大気中半減期は光酸化による分解で、10-36時間と推定されています。
また、味噌汁のように火を止めてから味噌を入れる場合は、味噌汁の中にエチルアルコールのまま残る場合もあります。(エチルアルコールの沸点約78度)
そして揮発した、または食品内に残留した連続式焼酎であるエチルアルコールが原因となり、調理中に赤ちゃんが反応しぐずったり、アトピーや喘息を持病として持つ方は症状が現れたりするのです。
そして当然、化学物質過敏症の方はアトピーや喘息などの症状以外にも個々によって様々な症状に苦しめられることになります。
天然醸造でこだわりのある蔵元の商品を選ぶ
母乳育児、離乳食だけでなく、アトピーや喘息、化学物質過敏症などで苦しんでいる方はまず、味噌、醤油だけでなく、あらゆる調味料、食材のラベルをしっかりと見てから購入してください。
そして、安全な味噌や醤油を選ぶ際には、天然醸造で醤油や味噌を作っておられる蔵元を選んでください。
そういった蔵元の場合、材料にもこだわりを持っておられることが多く、一軒一軒確認は必要となりますが、遺伝子組み換えにより殺虫成分を持たせ、新たなアレルギーの原因となった遺伝子組み換え作物は使用していないと思いますので、より安心となります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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