子供の神経に影響が|なぜ規制?食品中アルミニウムの害
子供が喜んでよく食べるパンケーキやクッキーなどの焼き菓子。
そして、それらをふっくらおいしく作るのに使われるベーキングパウダー。
そのベーキングパウダーにアルミニウムが含まれていたため、1~6才の子供の過剰摂取が問題視され、平成25年7月1日付で厚生労働省が関係各所に低減依頼を出しました。
しかし低減依頼が出てから随分経ちましたが、結果はと言いますと、消費者から見える範囲内だけの低減が行われたようで、アルミニウムは今も菓子類に使用されていますし、様々な食品や薬・水道水のろ過時などにも使用されています。
ですから今でも私たちは日常的にアルミニウムを摂取し続けており、個人レベルでの防衛策が必要となってくるのです。
しかし、そもそもなぜアルミニウムの摂取制限が必要なのでしょうか?
こちらのページではアルミニウムの害についてご紹介していきます。認知症だけでなく、パーキンソン病との関連が疑われています。
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アルミニウムとアルツハイマー病との関連は本当に無い?
アルミニウムの毒性については、かつてアルツハイマー病との関連が取りざたされ、一時期アルミニウム製鍋が販売不振となったことがあります。
現在では、アルツハイマー病との関連性については否定されたり、不明とされていますが、その議論の発端は、血液透析(人工透析)患者にアルツハイマー病とよく似た、言語障害・異常行動・認識や精神の障害・突然の発作を起こす、といった症状が見られ、その患者の脳にアルミニウムが蓄積していることがわかったことによります。
現在では、血液透析が原因で脳にアルミニウムが蓄積し起こったアルツハイマー病とよく似た症状は、アルツハイマー病と区別し、「透析脳症」と名づけられていますが、アルツハイマー病と同様、認知症の一部になります。
ですので、アルミニウムが脳に蓄積することによって、認知能力に障害を起こす、というのは事実です。
血液透析患者の脳にアルミニウムが蓄積した理由
脳にアルミニウムが蓄積した理由については下記のように言われています。
血液透析(人工透析)には、かつて水道水が使用されていました。しかし水道水には、ろ過時に凝集剤として使用したアルミニウムが残留しています。
そのアルミニウムが透析治療により血液中に直接入ることで、血液透析患者の血液中のアルミニウム濃度は非常に高くなりました。
(口から入ったアルミニウムは消化器官を経るため、1%しか吸収されないと言われています)
血液中から老廃物を除去する機能が働かなくなっている腎不全患者は、アルミニウムも体外に尿として排出することが出来ず、体内に蓄積されることになりました。その体内の蓄積先の一つが脳だったわけです。
なお、現在では透析液に水道水は使用されなくなり、透析脳症は発症していません。
そして現在アルミニウムの害として主に言われているのは、腎臓や膀胱への影響や握力の低下などになります。
では次にマウスの実験による、子供への影響をご紹介します。
アルミニウムの子供への害 パーキンソン病にも関係あり?
平成24年10月4日に食品安全委員会セミナーが開催され、アルミニウムの影響についての研究発表や研究紹介などがされました。なお、そのセミナーは子供への影響について講演されていることから、アルミニウム摂取量低減に向けての動きの一つだったことがわかります。
では、どのような内容であったのかをご紹介します。
アルミニウムの害についての講演1 尿路病変・成長遅延・運動機能低下!
以下参考資料:
こちらはラットを使用した実験についての講演で、実験は下記のように行われました。
- 母ラットは妊娠6日目からクエン酸アルミニウムを飲水から摂取させる。
- その後生まれた仔ラットには継続してクエン酸アルミニウム与える
- 仔ラットの実験は大きく分けて2つのパターンがあり、90日までと12か月まで摂取させる。
(実際にはさらに濃度別に分類されています)
またこの実験は、ラット900匹以上を使用し、完成までに約2年かかった大規模なものです。
アルミニウムの母ラットへの影響
この実験は、子供への影響を調べることが目的です。
そのため母ラットに大きな影響が出ないレベルのアルミニウム濃度となっており、現れた症状は、妊娠期間の延長や体重減少、軽い脱水症状と一部の母ラットが産後3日目において下痢をした、というものでした。
アルミニウムの仔ラットへの影響
では子供のラットはどうだったかと言いますと、母ラットとは違い、アルミニウムの影響は甚大でした。
- 高用量グループ(300mg/kg)の仔雄は試験の途中で尿結石による閉塞が起き、多くが死亡し、残った仔雄も尿路の病気のため離乳前の生後3か月ほどで安楽死させた。(こちらの安楽死とは、頸骨を脱臼させる【首の骨を折る】ということのようです。)
- 雄雌の両方に、成長の遅延・低体重、下痢、腫脹、悪い毛並、血尿、そして生育上の特徴出現の遅延。
- 小球性貧血(赤血球のサイズが正常より小さくなる)、尿素・アルカリフォスターゼ(リン酸化合物を分解する酵素)や血清カルシウムの上昇、総蛋白、アルプミン(血液浸透圧調整の役割を担う)及びグロプリン(免疫機能と関わりを持つものもある)の減少。
- 神経筋に影響を及ぼし、投与量に比例した、前肢、後肢の握力低下、軽度の足幅減少。(神経筋疾患としてはパーキンソン病などがあります)
- 著しく高いアルミニウム濃度が血液、肝臓、骨に認められた。また、中枢神経系組織におけるアルミニウム濃度は脳幹において最も高く、続いて脊髄、小脳および皮質で高濃度が認められた。
- 血液、大腿骨、肝臓、上記中枢神経・脳の組織の一部にアルミニウムの蓄積が認められた。
- 神経組織の排出効率が低く、脊髄の場合は母ラットの生体内蓄積を示している可能性がある。
この実験から、アルミニウムの害として私たちが見てわかるものは、雄の尿路に関する病気、成長の遅延、運動機能の低下などがあげられます。
このアルミニウム蓄積によって起こる運動機能の低下がパーキンソン病と関係があるのではないかと推測されてもいます。
アルミニウムの害についての講演2 アルミ摂取量低減で寿命延長!?
以下参考資料:
食品安全委員会
講演資料2:食品中のアルミニウムに関する世界動向
「FAO/WHO合同食品添加物専門家会議による食品中のアルミニウムの安全 性評価」
及び同セミナー議事録
講演者: ダイアン・ベンフォード 博士(英国食品基準庁)
こちらは基本的に食品添加物に含まれるアルミニウムに関する世界の動向について講演されています。その中からラットを使用したアルミニウムの毒性実験結果についてご紹介します。
なお講演1と重複する内容は省きます。
- アルミニウムは妊娠中に胎児に伝わり、脳へも到達。また、授乳を通じて子供に伝わる。ただし、授乳によるものは胎盤経由よりも少ない。
- 脳全体で無く、脳の皮質だけに集中して蓄積される。
- 老齢ラットの記憶を阻害。
- ラットの体重を減少させるために飼料量(実験のためアルミニウムを含む)を制限したことによって、結果的に寿命が延長した。
こちらでは、母から子へのアルミニウムの移動があるということと、脳内の蓄積は皮質だけだということ、加齢により腎臓の機能が低下したラットでは記憶障害が起こったこと、アルミニウム摂取量を減らすと寿命が延びたこと、などがわかります。
またダイアン・ベンフォード博士は、ヒトに起こったアルミニウムの害についての例として、新生児が点滴や注射などにより栄養を取り、アルミニウムに暴露すると、思春期に腰椎や腰の骨量が減少したこと(こちらは透析脳症と同様の暴露の仕方だと思います)牛乳アレルギー対策粉ミルクに使用される大豆調整乳からの、アルミニウム過剰摂取についても話されています。
幼い子供をアルミニウムの害から守るには、まだまだ個人レベルの努力が必要
幼い子供のアルミニウム最大摂取元はベーキングパウダーなどの膨張剤とされています。
アルミニウムを含んだ膨張剤は、ベーキングパウダーのほか、「ふくらし粉」「膨張剤」などと違う名前も使われ、今でも多くの菓子やパン類に使われています。
また、幼児は体重・体積が大人に比べて少ないため、同じ量を食べたとしても摂取量オーバーになります。
さらに幼い子供は、腎臓の排出機能が大人に比べて未熟です。そうしますと当然血液透析患者や加齢により腎臓機能が低下した方と似たような状況が考えられます。
大人との体のサイズ、おやつとして食べる量の違いなどで、幼児のアルミニウム摂取量は基準を超えやすく、また、排出機能が未熟であることから、血液中のアルミニウムが高濃度になりやすく、脳や各器官への蓄積が心配されているのです。
アルミニウムフリーを謳っている菓子メーカーはまだまだ少ない
現在では一度食べさせると1週間分以上のアルミニウムを摂取してしまうと言われた市販の個人向けホットケーキミックス粉には、アルミニウムはほぼ使われていないようです。
しかし、市販されるホットケーキミックス粉以外の商品、つまり、すぐに食べられるお菓子として販売されている商品については、アルミフリーを謳っているのは、あまり名の知られていないほんの一部の会社のみのようです。
ですから、厚生労働省から低減依頼が出されて随分経過した現在でも、アルミニウム摂取量を減らすには、まだまだ個人レベルで気を付ける必要があります。
なお、アルミニウムフリーを謳っている菓子メーカーは、愛知県豊橋市の㈱サンコーさんなどがあります。こちらは自然食品を取り扱うお店などで販売されていますが、近くに自然食品のお店が無くてもインターネットで購入することができます。
なお食品は、食品だけを取り扱っているお店から購入なされた方が良いと思います。
時間のある時にはお子さんと一緒にお菓子作りを楽しんでみては?
子供のアルミニウム摂取量を減らす方法の一つとして、アルミニウムフリーのベーキングパウダーを使い、手作りするという方法もあります。子供はお母さんに作って貰うホットケーキやクッキーをとても喜びますし、何より安心です。
また3才頃になれば一緒にお菓子作りをしてみるのも楽しいと思います。小さいお子さんはただ遊んでいるだけでしょうが、小学校に入る頃には一人でも作れるようになりますよ。
下のベーキングパウダーは添加物品目が少なく、毒性についても特に認められていない物質が使われています。
◆材料:第一リン酸カルシウム・炭酸水素ナトリウム・コーンスターチ(遺伝子組み換えでない)
また、各社のホットケーキミックスについてはアルミフリーに切り替わっているようです。
その中でもポストハーベストを気にしなくても良い北海道産小麦粉100%の商品はこちらです。
◆原材料:小麦粉(北海道産)・砂糖・ブドウ糖・ベーキングパウダー・香料
しかしこれらの商品を使わなくても、ケーキだけでなくホットケーキも冷凍庫でキンキンに冷やした卵白をしっかり泡立てることでふっくらとした仕上がりになりますから、視点を替えてみるのも良いかもしれません。
(家庭科能力0の私でも、何度も作れば出来ました)
また、子供はアルミやスチール缶入りのジュースを飲む機会が多いと思います。それらにもアルミニウムは含まれていますし、アルミニウム鍋からも溶け出してきますので気を付けて下さい。
アルミニウム鍋からの溶け出しについてはこちらをご覧いただけますと幸いです。
>> 【アルミ鍋の危険性】離乳食に使用不可!赤ちゃんに深刻なダメージ
なお、日常的に摂取し続けている水道のろ過時に使用されるアルミの凝集剤については、鉄剤などへの切り替えが検討されているようです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
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