エコチル調査をご存知でしょうか?結果が出る前に行動を!
近年、深刻さを増す赤ちゃんや子供達のアレルギーや発達障害、身体的な問題などの様々な病気。
あなたも、身の回りの多くの子供たちが様々な病気で苦しんでいるのを、見たり聞いたりしたことがあると思います。
実は何十年も前から多くの専門家たちは、近年増え続ける子供たちの病気の原因が、身の回りの化学物質に関係していると指摘していました。
そうして世界的には、1997年(平成9年)にマイアミで国際的な話し合いが行われ、米国や欧州などでは2020年を目標に一定の削減に向けて動きました。
一方日本では、2005年(平成17年)から議論が進められ、先進各国が有害な化学物質削減に向けて既に動いている中、本当に化学物質が健康被害を与えるのかについて調査を始めることにしたのです。
それが、2011年(平成23年)から約10万組の母子を対象におこなっているエコチル調査です。
しかし、”今”子供を授かろうとしている、”今”妊娠中、”今”子育て中の私たちだけでなく、エコチル調査の対象者にも、なぜ調査が行われているのか、対象となっている化学物質は何なのか、何に気を付けるべきなのかは伝えられていません。
こちらのページでは、エコチル調査で何を調べているのかをご紹介します。”今”必要な情報をご自身で得るきっかけになりますと幸いです。
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エコチル調査 分野別仮説
エコチル調査が始まった時には既に、化学物質がどのような影響を与えているのかある程度知られていました。
それが以下の項目になります。
エコチル調査HPより
妊娠・生殖分野
- 化学物質のカップルへの暴露は性比に影響を及ぼす。
- 妊娠中の化学物質の暴露により、妊娠異常や胎児・新生児の発育異常が生じる。
先天奇形分野
- 環境中の化学物質が先天奇形の発生に関与する。
- 先天奇形症候群奇形発症は、遺伝的感受性と暴露量の複合作用による
精神神経・発達分野
- 胎児期および幼少期における化学物質の暴露が子供の発達障害および精神障害に関与している。
- 胎児期および幼少期における化学物質の暴露が子供の精神症状に関与している。
免疫・アレルギー分野
- 胎児期および幼少期における、近代的環境で著しく増加した化学物質の暴露が、子供のアレルギー疾患に関与している。
代謝・内分泌分野
胎児期および幼少期における環境中の化学物質の暴露が、
- 小児期から成人期の肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病の発生に関与する。
- 小児・思春期の成長、思春期および成人期の性成熟・生殖能力・性線系発癌に影響を及ぼす。
これらが実際に化学物質によるのかを、日本でのデータを取るために今現在も調査しています。
化学物質が関与していると考えられている病気
化学物質が原因と考えられている具体的な病気は、以下のように様々な分野に渡っています。
- 出生時の低体重
- 出生後の身体発育不良
- 尿道下劣・停留精巣・等の染色体異常(奇形)
- 性異型性障害(性同一性障害)
- 脳の性分化
- 自閉症
- LD(学習障害)
- ADHD(注意欠陥・多動障害)
- 小児アレルギー
- アトピー性皮膚炎
- 喘息
- 耐糖脳異常(糖尿病予備軍)
- 肥満
エコチル調査HPより
身体の病弱さだけでなく、精神、思考などにも影響があることがわかります。
なお平成24年10月より、放射性物質が子どもに与える影響も調査内容に追加されました。
子供の健康を害していると疑われている化学物質
現在、赤ちゃんや子供の健康に害を与えていると考えられている化学物質は、大きく分けて以下になります。
- 残留性有機汚染物質(ダイオキシン類、PCB、有機フッ素化合物、難燃剤等)
- 重金属(水銀、鉛、ヒ素、カドミウム等)
- 内分泌かく乱物質(ビスフェノールA等)
- 農薬
- VOC など
エコチル調査HPより
それら有害性を持つ化学物質が、私たちの周りにある様々な物から発生しています。
身の回りの危険な化学物質
ダイオキシン
プラスティックなどを燃やした時に発生。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)
カネミ油症事件で問題となった物質。
ごみの焼却、たばこの煙、自動車の排気ガスなど様々な発生源がある。
有機フッ素化合物
界面活性剤やコーティング剤として広く使用されている。
焦げ付かない鍋、家具、化粧品、家庭用洗剤、衣類、食品容器など。
難燃剤
プラスチック、ゴム、繊維、紙、木材などの燃えやすい素材に使用し、燃えにくくしたり、炎が広がらないようにする薬剤。
重金属
PM2.5、タバコ、殺虫剤、化学肥料、化粧品、バッテリーなど。
内分泌かく乱物質
ポリカーボネートやエポキシ樹脂などのプラスチックを作る際に利用されている。
哺乳瓶、歯科治療用の歯の詰め物、缶詰の内側の保護剤、サングラス、CD、水や食品の容器など。
農薬
農業、林業や、施設、家庭の草木の手入れなどに使用される農薬、畳、建材、家屋の白アリ対策、建材、防虫剤など。
VOC(揮発性有機化合物)
塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤、柔軟剤・芳香剤に含まれる香料など。
普通の生活の中で、ごく普通に日用品として使用している製品に含まれる化学物質も、健康を損なう原因となっているのではないか、と推測されています。
エコチル調査の対象者と調査期間
- 平成23年1月より日本全国で参加者(妊婦さん)を10万人を目標にして募集しました。
- 参加者は妊娠初期から子供が13歳になるまで継続的に化学物質から受ける影響を採尿、血液検査、母乳の採取、赤ちゃんの毛髪の採取、質問票調査、面接調査などで段階に応じて調査されます。
- 調査期間は21年間(リクルート3年、追跡13年、解析5年)
ここで知って欲しいのは、ごく普通に暮らすと子供たちがどのように育つかについて国が調べているということです。
どう思うかは人それぞれだと思いますが、私個人としては、予防原則で動くのが、人として当たり前のことではないかと考えます。
エコチル調査の結果を何もせずに待っていると手遅れに
調査結果が発表されるのは2032年となっています。
今赤ちゃんであるお子様がいくつになったときに、専門家の中で調査結果がまとまるのでしょう?
そして、その結果が反映されるのはいつの事なのでしょう?
他国では既に規制されたり、自主規制が行われたりしている化学物質を使い、食べ、吸い込み、今まで通り「普通」に暮らしていて本当に良いのでしょうか?
お子様に与えている食事や環境は、その次の世代にも強い影響を与えます。
どうすれば良いのか、真剣に考えてほしい、と切に願います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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