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環境ホルモンから子供を守る!生殖能力だけでなく知能にも影響が

環境ホルモンから子供を守る!生殖能力だけでなく知能にも影響が

 

環境ホルモンから子供を守る!生殖能力だけでなく知能にも影響が

環境ホルモン

「環境ホルモン」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?

 

1996年「内分泌かく乱物質」について書かれた「奪われし未来」がアメリカで出版され、翌1997年には日本で出版。その翌年の1998年には「環境ホルモン」という言葉を使いメディアを大変賑わせました。(※内分泌かく乱物質と環境ホルモンは同義語になります)

 

しかし初版から20年経過した現在ではメディアで取り上げられることも無くなり、現在お母さん業をなさっている方々の中には「環境ホルモン」に対して関心の無い方も多いのではないかと思います。

 

ただ、当時大々的に報道され、また同時に企業によって否定された「化学物質が体に与える害」は、無かったのではありません。当時それらの現象が化学物質を原因として起こっていると確実に証明しきれなかっただけです。(否定論は必ず必要です)

 

しかしその後、日本政府も含め世界中で環境ホルモンについて研究がなされてきました。そして、次々と新しい事実が発見されています。そしてその事実の中に「おそらく知能への影響がある」ことも含まれています。生殖能力の低下だけでは無い、ということなのです。

 

こちらのページでは、妊活中のお子さんを授かりたいと思っておられる方や、現在子育てをなさっている方にぜひ知って欲しい環境ホルモン(内分泌かく乱物質)の働きについてご紹介します。

 

少しずつでも気を使って頂けますと、未来が違ってくるかもしれません。


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環境ホルモンと内分泌かく乱物質

野生動物に起こっているメスのオス化や人の男性の精子の減少などが、環境中に放出された化学物質が生体内であたかもホルモンのように作用し、内分泌系をかく乱していることが原因ではないか?と、化学物質の危険性について指摘したのが「奪われし未来」という著書になります。

 

そしてその著書で彼らは、「内分泌かく乱物質」という言葉を使いました。しかしその後日本のメディアに取り上げられたとき、呼びやすい「環境ホルモン」という呼称を使うようになったそうです。

 

内分泌攪乱物質を一般市民に分りやすく紹介するために、日本放送協会と井口泰泉(横浜市立大学教授、当時)が「環境中に存在するホルモンのような物質」という意味合いから環境ホルモンという通称を考案した。

 

引用:「内分泌攪乱物質」Wikipedia

 

現在では「内分泌かく乱物質」と「環境ホルモン」の両方の言葉が使われていますが、どちらも「内分泌系に影響を及ぼすことにより、生体に障害や有害な影響を引き起こす外因性の化学物質」のことを指しています。ただ、今後も研究が続いていく内分泌をかく乱させる化学物質の研究報告などを調べたいと思われた時には、造語である「環境ホルモン」ではなく、「内分泌かく乱物質」または「内分泌かく乱化学物質」というキーワードをお使いになるとより良いと思います。

ホルモンは体を正常に保つ重要な働きをする

ホルモンの働き

では「ホルモン」は私たちの体の中でどのような働きをしているのでしょう?

 

「ホルモン」と言えば「性」に関係のある言葉だけのような気がしますが、実はそれだけではないのです。

 

ホルモンとは?

 

私たちの体の中には、汗・唾液・涙・母乳などの分泌物を、汗腺・だ腺・涙腺・乳腺などの外分泌腺を通して外に出す「外分泌」と、血液中などに放出する「内分泌」があります。

 

そして以前は下の図①のように、血液中を流れ、遠く離れた特定の細胞に作用する情報伝達物質のことをホルモン(hormone)と呼んでいました。

 

図① 内分泌:血液を通してはなれた場所にある特定の部位(標的臓器)に作用

 

内分泌

 

しかし現在では下の図②、③のように、となりの細胞や自分自身にも働くこともわかっています。しかし血液中に流れ出てこないため、どのような働きをしているのかは現在のところ詳しく知ることができないようです。

 

図② 傍分泌:つくられた場所のすぐとなりにある細胞に作用

 

傍分泌

 

図③ 自己分泌:つくられた細胞そのものに作用

 

自己分泌

 

ホルモンが作られる場所

 

ホルモンは全身のいたるところでつくられています。主に、頭にある脳下垂体、喉の甲状腺・副甲状腺、腎臓の上にある副腎皮質・副腎髄質、膵臓の膵内分泌、睾丸や卵巣、胃腸・心臓血管・脂肪・神経系などです。

 

ホルモンの役割

 

作られたホルモンは、免疫・呼吸・成長・生殖・消化吸収・血圧の調整・炎症を鎮めるなどだけでなく、ストレスの緩和など、私たちの体が正常に、生命を維持するためのあらゆる役割を担っています。それも、50mプールいっぱいの水にスプーン一杯程度という、ごくごく微量で。

 

内分泌かく乱物質は脳にも影響を与える

 

甲状腺ホルモンが脳の発達や成長に必須であること、そして農薬やプラスチック製品などに含まれる化学物質が甲状腺ホルモンをかく乱させる作用を持つことは既にわかっています。

 

  • 化学物質の性ホルモンかく乱作用に比べると, 甲状腺ホルモンかく乱作用についての研究の歴史は浅い。しかし, PCBやダイオキシンなど多くの性ホルモン撹乱化学物質でも甲状腺ホルモン撹乱作用は報告されており・・
  • 近年、ADHDや学習障害(LD)の発症に化学物質による甲状腺ホルモンの攪乱が関与している可能性が示唆されてる。
  • 社会問題化している小児の行動異常などの増加と化学物質との関連を否定はできない。
  • 生体内のホルモンはピコという超微量な単位で様々な働きを担っている。
  • 人のホルモン関連の病気に起因する異常行動など精神面への影響に関する疫学的な研究は立ち遅れている。

引用文献:「化学物質による甲状腺ホルモンかく乱作用-ビスフェノールAの最近の知見を中心に-」 佐ニ木順子、柳堀 朗子(衛生研究所環境ホルモンプロジェクト) 千葉衛研報告書 第29号1-8 2005年 P3、P5、P6

 

「環境ホルモン」は極々微量で、生命(健康)を維持するためのホルモンの働きを乱し、体だけでなく、精神にまで影響を及ぼすことから、問題視されているのです。

 

もう少し言いますと、少し吸ったぐらい、少し取り入れたぐらい何の影響も無い、ということでは無かったことが分かってきたので問題視されている、ということです。


内分泌かく乱化学物質はどのようにして働くの?

呼吸や食べることにより体の中に侵入した様々な化学物質は、肺や消化器官を通じて血液中に入り込み、体中をめぐることになります。

 

内分泌かく乱物質がどのように作用するか

 

なお、化学物質がどのようにして内分泌をかく乱させているのかについては、現在5つの仕組みが分かっています。

 

  1. 本物のホルモンとよく似ているために間違えて受けとってしまい、本来よりも沢山の指令が出される。
  2. ホルモンを受け取れないように邪魔をする。
  3. 内分泌臓器がホルモンを作ること自体を邪魔したり、逆に、必要の無いホルモンを作らせたりする。
  4. ホルモンを受け取る場所(受容体)の数を減らし、内分泌臓器からのホルモンを受け取れなくする。または逆に、受容体の数を増やしてホルモンを沢山受け取らせる。
  5. 本来ホルモンを受け取り目的が達成された時点でホルモン分泌を停めるための指示が送られ、ホルモン量の調節行っているが、その停止指示(フィードバック)を阻害する。結果、ホルモンは作られ続けることになる。

 

以上のことから、私たちの体のあらゆる場所で作られ、あらゆる場所で作用するホルモンに関して、化学物質はあらゆる方法で正常な働きを阻害することがわかります。

 

ホルモンのように作用するだけではない、ということです。

「環境ホルモン」という言葉が危険性に対しての感受性を麻痺させた

内分泌かく乱物質は日常に

1990年代後半にTVなどで「内分泌かく乱物質」ではなく、「環境ホルモン」「魚のオスがメス化」「足が沢山あるカエルが見つかった」などが大々的に報道されたため、水生生物にのみ影響が出ているような印象が与えられたことは、事の本質を多い隠し、問題を放置する結果となりました。

 

そして現在では多くの方が何らかの体の不調を訴えながら日常を過ごしています。

 

何に気を付ければ良いの?誰もが思います。しかし原因物質を正確に特定することは不可能です。なぜなら、ホルモンに関してはまだ未知の部分が多く、また工業的に生産されている化学物質、約10万種がどのように私たちの体に作用するのかについても多くが未知であり、さらに、毎日新しい化学物質が開発されているからです。

 

さらに、世界中で開発・生産され続ける化学物質は、「長期間」、「継続して」、「日常的に身の回りにあるものに使用」され、「多くの人に影響が出て」初めて問題提起され、調査が行われます。

 

消費者には知らされることなく。

 

ただ自衛手段が無いわけではありません。内分泌かく乱物質と判明した化学物質には、農薬やダイオキシンなどのように、人体に有毒であることが既に判明しているものが多くあります。

 

ですから、人体に毒性を持つ化学物質を取り入れない工夫をなさるかどうかで、家族の健康を守ることが出来るかもしれません。

 

そしてその時に覚えていて欲しいことは、「薄めたから人体に毒性は無い」というのは「急性毒性が無い」という意味だということ、内分泌かく乱物質は「極々微量で作用する」ということの2点です。

 

なお現段階では、内分泌かく乱物質は胎児への影響がかなり大きいことが問題視されています。これから親になる方、現在子育て中のお母さん方、食べ物、飲水、日用品、学用品、住宅そのもの・・大変ですが、あらゆる物に気を付けて下さい。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
子供達が皆、健康に育ちますように。

 

  • シーア・コルボーン博士(1927-2014)・・・WWF科学顧問・内分泌研究の専門家。内分泌かく乱化学の母とも言われる
  • ダイアン・ダマノスキ・・・Boston Globe紙に環境科学や環境政策関する記事を執筆してきたジャーナリスト
  • ジョン・ピーターソン・マイヤーズ・・・環境保護に取り組む私立財団W.Alton Jones Foundationの代表

 

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