タバコに含まれる添加物が発がん率をさらに高める
タバコの害についてはTVや新聞からも繰り返し伝えられています。
しかし「有害」だと私たちに伝わる情報は、本来のタバコ=タバコの葉を燃やした時のことのみ。
ただそれだけで「発がん性」について語られており、わざわざ添加されている発がん性物質については公表されることがありません。
喫煙率は減少 しかし増え続ける癌患者
もう20年程前になりますが、当時50代の方などが最近のたばこは味が変わって美味しくない、と言っておられたのを何気なく聞いていたのを覚えています。
それから時代が大きく変わり、タバコの害が大きく取り上げられました。
そのため喫煙率は年々減少し続け、男性では平成26年に約30%となり、昭和41年の83%と比べ約53%減となっています。ちなみに女性の喫煙率は、昭和41年で約18%と男性と比べて低かったためか、平成26年で約10%とほぼ横ばいです。
私たちの身の回りにある発がん性物質は、タバコだけではありません。
しかし、肺がんの大きな原因の一つとも言われたタバコの喫煙率が53%も減少しているなか、肺がん患者数が急激に増加しているのは不思議に思われる方が多くおられると思います。
ガン患者数の推移
出典:国立がん研究センター「2015年のがん罹患数、死亡数予測」
それはタバコ本来の有害性だけに着目しているために起こります。
昔と比べて味の変わったタバコ。
そのタバコに何が添加されているのでしょう?
こちらのページでは、タバコの添加物とタバコ本来の害についてご紹介します。
タバコは喫煙者だけでなく、周囲にいる方全てが同じように影響を受けます。喫煙者自身の健康だけでなく、大事な家族の健康のためにできることを考えるきっかけになれば幸いです。
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タバコには多くの有害化学物質が添加されている
現在ではタバコの銘柄ごとの差別化を図るためや、製造を容易くするために様々な添加物が使われています。
添加の目的
香料 |
葉タバコ本来の味や香りを整えるもの、あるいは銘柄ごとの味や香りを仕上げるために使用されるもの。 |
---|---|
結合剤 |
製品の形や構造を保つために使用されるもの。 |
保湿剤 |
製品の品質を維持するため、水分を一定に保つことを目的に使用されるもの。 |
保存料 |
品質劣化を防ぐために使用されるもの。 |
溶媒 |
香料等を溶かして製品に転嫁しやすくする目的で使用されるもの。 |
乳化剤 |
香料等を溶解する際、交じり合いにくい物質を均一化するために使用されるもの。 |
酸化防止剤 |
香料等の成分の酸化による品質劣化を抑制するために使用されるもの。 |
工程助剤 |
製品を製造しやすくするため、製造工程において使用されるが、最終製品では特定の役割を果たさないもの。 |
JT日本たばこ産業HPより抜粋
添加されている化学物質例
詳細はJT日本たばこ産業HPに掲載されていますが、ほんの一部をご紹介します。
安息香酸ベンジル |
殺虫剤・香水の揮発防止剤・飲み込むと有害 |
---|---|
2-ブタノール |
急性毒性・目に対する重篤な損傷・目刺激性・生殖毒性・眠気又はめまい・呼吸器への刺激・胎児への悪影響のおそれ |
シンナムアルデヒド |
皮膚刺激性がある |
シトロネロール |
香水や防虫剤として利用・人により過敏症を引き起こす |
前述したように、現在のタバコは昔のタバコと違い、様々な目的のために様々な化学物質が添加されています。
その結果、タバコには約200種類の有害物質と約60種類の発がん性物質が含まれることになりました。
また、添加物として使用される化学物質の種類は年々増え、長期的にどのような影響を体に与えるのかについては不明です。しかし、現在がん患者は急激に増加し続けています。
次にタバコ本来の害についてご紹介します。
タバコ本来の害
まずは一般的に言われているタバコの害について。通常「タバコの煙害」について語られる場合はニコチン、タール、一酸化炭素が主な原因とされています。
ニコチン
依存性の高い物質。吸って8秒で脳に到達し中枢神経に作用する。少量で興奮作用、大量では鎮静作用を示します。また、血管収縮作用もあります。
タール
フィルターに茶色く付着する粘液性の物質。発がん性の高く有名なベンゾピレン、アミン類など数十種類の発がん性物質が含まれています。
一酸化炭素
冬期間に屋内で燃焼系の暖房器具を使用し一酸化炭素中毒で事故がおきることで有名な物質。血液の酸素運搬機能が阻害され、組織の酸素欠乏を引き起こします。
そのほか、タバコの煙には4,000種類以上の化学物質、ダイオキシンなどの約200種類の有害物質、約60種類の発がん性物質が含まれています。
タバコが体に及ぼす影響
喫煙者全般
- 喉頭がん・肺がん・咽頭がん、膀胱(ぼうこう)がん・食道がん・胃がん・膵臓(すいぞう)がん・肝臓がんなどの各種のがん
- 心筋梗塞などの虚血性心疾患
- 下肢の動脈の慢性閉そく症など動脈硬化
- 脳血栓
- 肺気腫などの閉塞性肺疾患
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 膵炎(すいえん)・肝炎(かんえん)
- 慢性気管支炎、肺気腫などを含む慢性閉そく性肺疾患
- 歯の黄ばみ・口臭・歯肉炎などの歯周疾患
- 酸欠による集中力・思考力の低下
女性
- 閉経が早まる
- 骨量の減少=骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になりやすい
- 肌荒れ、シミ・そばかす
- 自然流産のリスクを高める。
- 未熟児や低出生体重児が生まれる危険が高くなる
受動喫煙
- 受動喫煙とは、他人が吸っているタバコの煙を吸い込むことをいう
- 受動喫煙によって、成人の慢性呼吸器疾患に25%、小児の急性呼吸器疾患にかかるリスクを50%~100%に増加させ、また、受動喫煙により肺がんのリスクが高まる
- 母親の喫煙により、乳幼児突然死症候群の原因となる
- 喫煙者の両親を持つ子供は、呼吸器疾患にかかるリスクが高くなる
- 子供の急性や慢性の中耳疾患のリスクが高くなる
- 酸欠による集中力・思考力の低下
これらのことからタバコは、喫煙者だけでなく、受動喫煙となっている赤ちゃんや子供に、非常に深刻な影響を与えることがわかります。
さらに酸欠による集中力・思考力の低下により、学習にも影響が出ることになります。
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これだけ有害性が判明しているタバコに、さらに有害物質を添加し毒性を増しているのですから、喫煙率が下がっても肺がん患者数が増えるのはある意味当然のことと言えます。
3次的喫煙が問題に
他の人が吸っているタバコの煙を吸い込む受動喫煙が危険だということは、すでに多くの方が知っています。
しかし、今では3次的喫煙までが問題となっているのをご存知でしょうか?
3次的喫煙とは、タバコを喫煙した本人の肌や衣類に付着したタバコの残留物や、屋内の壁、じゅうたん、カーテン、家具などの表面に付着し、何か月も残留する物質から受ける影響のことをいいます。
それらに付着したタバコの残留物は、ハウスダストに付着し、またそれらを吸い込んだり、カーペットや衣類に触れたりすることで、喫煙者だけでなく、喫煙者の家族に長期間継続して害をもたらします。
そして、最も深刻な影響を受けるのは乳幼児になります。
最近では屋外でタバコを吸うお父さんを多く見かけます。本当は室内で喫煙をされたいのでしょうが、お子様のためを思って屋外でされているのでしょう。
しかしタバコを吸い終わり、家に入ってきたお父さんに抱っこされた赤ちゃんや子供は、煙を直接吸わなくても、タバコの残留物によってアトピーや喘息だけでなく、様々な健康被害を受けることになるのです。
寒い冬でも屋外で喫煙をして下さるご家族の方には大変申し訳ないのですが、子供を健康に育てるには、分煙でなく、禁煙という育児協力が一番助かるようです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
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