化学物質過敏症(CS)学校生活の工夫 はじめに
化学物質過敏症(CS)の子供を保育園や学校に行かせるとき、あらゆるものが反応物となります。
建物、教材、洗剤、ワックスや農薬。そして近年問題が大きくなってきましたシャンプーや柔軟剤などに使用される合成香料。
親御さん自身が化学物質過敏症(CS)患者であればその苦痛を体感し悩み、お子さんだけが化学物質過敏症(CS)であれば自身で体感できない苦痛に悩んでおられると思います。
しかし、学校生活は流れの早い川のように留まることなく、どんどん先に進みますから、こちらから積極的に先手を打っていかないといけないことばかりです。
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化学物質過敏症(CS)の症状を学校側で全て理解するのは難しい
先手を打つということは、化学物質過敏症(CS)のことを伝え、理解してもらい、お子さんにあった対応を一方的に学校側にしてもらう、ということではありません。
なぜなら、化学物質過敏症(CS)の症状は、反応物が個々によって違い、また反応の仕方も違います。さらに、その時の体調によっても大きく変わってきます。
更に言いますと、体調を崩す原因は目に見えない化学物質です。
ですから親御さん自身も今まで手探りで生活をしてこられたのではないでしょうか?
その、親でさえわからない原因物質を学校側に正確に伝え除いて貰うことは、酷なことを伝えるようですが、現状ではほぼ不可能です。(除草剤やワックスなどは除く)
教職員は勉強を教えるため、毎日遅くまで学校に残っています
また、これは個人的な感想ですが、教師にはプライベートな時間がとても少ないように思います。教職員の朝は早いですし、夜も遅くまで残っておられます。
低学年の頃、教材の現物確認を行うために学校に伺うことが度々ありました。しかし途中で抜けられる職場ではなく、仕事帰りの19時頃に伺うことが多かったのですが、担任の先生は「まだもう少しいます」といつも言われており、他にも多くの職員が残っておられました。また、教頭先生から20時以降に学校から電話を頂いたことも何度かあります。
その忙しい方々に、家族や本人でさえよくわからないことを十分に理解して貰い、さらに普通の人にとって全く問題にならない(と思っている)非常に些細な事にまで個別に対応して貰うのは難しいことです。
学校側の負担を少なくすることは、最終的に子供にとって良い結果になる
そこで私は、基本的な情報と最低限対応して頂きたいことだけをお伝えし、あとはこちらでできることをできるだけ行う、という方法を取っています。
なおこちらでご紹介させて頂きますのは、あくまでも私個人の方法であり、所在地や学校の規模によっても違いは多くあるでしょう。(私の子供が通う小学校は全校生徒700名を超えます)また教師も人間ですから、相手次第、ということもあります。
ですから、一つの例をあげて「こうして下さい」と言われても、学校によっては対応に困ることもあると思います。最終的にお子さんにとって最善の方法が取れればそれで良いのですから、私がおこなっている方法のうち、使える部分は使って頂き、より工夫が必要な場合はその都度、お子さんに負担が少ない方法を探してみて下さい。
私もこの先が不安で必死なのですが、互いを尊重する為に妥協も必要だと思っています。
しかし、国が各都道府県や政令市長に出している改善依頼について妥協する必要性は感じません。
国から改善依頼や指導が出ている案件は積極的に伝え、改善してもらう
農薬やワックスなどが子供の体にとって有害なことは、周知の事実です。
ですが実際の教育現場では、流れ作業の中で農薬散布やワックス掛けをおこなっています。また、それらによって健康被害を受けることについて、まだご存知ない方も多くおられます。
しかし学校に通う子供達だけでなく、教職員の方にも化学物質過敏症(CS)患者が増えてきています。シックスクール問題が取り上げられるようになってきた今、正しい情報を伝え改善してもらうことは、いくら教職員が忙しいとはいえ、必要な事です。
ですから、そういったことについては積極的に情報提示し、改善してもらえるようお願いしています。その際私が利用したのは下記のHPです。これらを印刷して持参し、説明をしました。
農薬について
農林水産省 住宅地等における農薬使用について 内【住宅地等における農薬使用について(PDF)】が各都道府県知事宛て資料になります。
なお上記文書は、平成19年1月31日付で各都道府県知事・政令市長に配布済みの書類となっています。
文部科学省 [改訂版]学校環境衛生管理マニュアル 「学校環境衛生基準」の理論と実践 内、【第3章 参考資料 プールの安全標準指針、住宅地等における農薬使用について(PDF)】 204ページ以降にあります。また、環境省からも同様の文書が出されています。
なお、平成25年版には下記の文章が付け加えられているなど一部修正箇所はありますが、平成19年版とほぼ同様の内容となっています。
しかしながら、依然として、児童・生徒が在校中の学校や開園時間中の公園、庭園等で農薬が散布された事例、街路樹等に対し害虫の発生状況にかかわらず一定の時期に決まった農薬が散布されている事例、周辺住民に事前の通知がないままに農薬が散布された事例等が報告されており、地方公共団体の施設管理部局、庭園、緑地等を有する土地・施設等 の管理者等に本通知の趣旨が徹底されていない場合があると考えられる。
実際、子供の通う小学校でも生徒の在校中、どころかグラウンドで体育の授業をおこなっている横で除草剤を散布しておられました。また、隣接する保育園の窓が開いている中、すぐ傍に並んでいる市道の街路樹に農薬散布しているところも見かけましたので、学校でも同様であったと思います。
一応昨年度までは、生徒がいない時間帯に散布して頂けるようになりました。ですが、農薬散布はやめられません。
また事前連絡については、ほんの2回程、散布をする旨だけを全校生徒の連絡帳に連絡事項として記入されていましたが、すぐにやめてしまいました。
そして今では保護者としては私にだけ連絡が来ている状態です。
少し面倒かもしれませんが、校長先生も教頭先生も次々と代わっていかれますので、その都度説明に行く必要があります。
リーフレットの方がわかりやすい
また、イラストを使いわかりやすく注意を促すものとして、農林水産省 住宅地等における農薬使用について 内 【リーフレット「農薬飛散による被害の発生を防ぐために」(PDF)】があります。
このリーフレットの中に、『事前に農薬を使用する目的、散布日時、使用農薬の種類、農薬散布者の連絡先を学校や保護者に連絡しましょう』とあります。
これは農薬散布者が学校側ではないと仮定して書かれていますが、学校側が農薬を散布する場合は上記内容をその都度、事前に保護者に連絡する必要がある、ということになります。
また、『農薬には、作物や樹木に発生する病害虫の防除を目的に散布するものの他に、ガーデニングや家庭菜園用のスプレー式の殺虫剤や殺菌剤、芝生等の雑草対策で使用する除草剤なども含まれます。』と記載されています。
さらに、定期散布を止める、農薬散布をしなくて済むよう物理的対策を取る、害虫に強い樹木を選ぶ、などの農薬使用の回数と量を減らすための方法も載っていますから、説明する際にとても役に立ちます。
ワックスについて
ワックスについては、シックスクール対策品を使いなさい、などというような指導は無いようです。
しかし、トルエンやキシレンなどのVOC(揮発性有機化合物)について、濃度の指針値が厚生労働省から出されています。また、それに伴い文部科学省から[改訂版]学校環境衛生管理マニュアル(改訂版は平成21年4月から施行)が出されています。
その中の【第2章 学校環境衛生基準 第1】に、ワックスの溶剤としてトルエン、キシレンが入っていることが記載されています。
十分な換気を行わずに通常のワックスを使用すれば間違いなく指針値を超えますので、一概には言えませんが、シックスクール対策品使用のお願いは聞き入れてもらいやすいのではないかと思います。
しかしワックスを全く使わないというのは難しく(床の傷防止に使う必要があるそう)、学校側から連休や長期間の休み前にかけることを提案頂きました。そこでこちらからは、登校までと、在校中もできるだけ換気をおこなってもらえるようお願いしています。
現状ではこのような対応が精一杯です。
なお、保育園や学校の換気不足は深刻です。ですから、積極的に換気をおこなって貰えるようお願いしても問題にはなりません。
換気についてはこちらの記事が参考になると思います。
学校で使用する教材をなるべく早く教えて貰い、使えるものをこちらで用意する
化学物質過敏症(CS)の子供を他のお子さんと同じスピードで、同じように授業を受けるためには、その時々で使える物を前もって用意することが必要です。
私は授業で使うものを事前に確認させて頂いていました。
そうしますと教材のほとんどが使用することが難しく、代替品を必要としたのですが、すぐに手に入らないものが多いので困りました。
ですから、遅くても1週間以上前に確認が取れると助かります。
なお今ではお店を回って探さなくても、インターネットを使い、指一つで注文ができますので便利です。しかし、使える物を見つけるまでに時間が結構かかります。
そこで、私の子供が使えたものは順に記事を載せていく予定ですので、参考にして頂けますと幸いです。
学校用と自宅用をそれぞれ用意する場合も
私は、学校で使用しているものは一切屋内には入れません。全て車庫内に置いています。
それほど学校の空気は汚染されています。(ランドセルを居室に置かないようにしただけで化学物質過敏症(CS)の症状が軽くなった子もいますので注意してください)
そのため、基本的にはワンセットしか購入しないのですが、学校用と自宅用をそれぞれ用意する場合があります。
自宅での練習が必要なものは2個用意する
鍵盤ハーモニカやリコーダーなどの学習は、基本的に自宅での練習が求められます。(そうでないところもあるのでしょうか?)
そこで私は、学校用と自宅用としてそれぞれ2個購入しました。そうすれば化学物質の付着を気にすることなく、自宅で練習できます。
なお学校で一括で購入する場合、定価よりは安いのですが、インターネット上の方がより安く手に入ることが多くあります。どうしても学校で購入しなければいけない場合もあるかと思いますが、2個購入する必要がある旨を説明し、家計の負担を抑える方法を取られても良いと思います。
また、辞書も同様です。
こちらの学校では1度持っていくだけなのですが、一度持っていけば大量に化学物質が付着し、しばらく外で干す必要が出てきます。しかし、辞書の使い方を授業で習ってきている場合、自宅でも辞書を引き使ってみようとしますから、2セット必要になってきます。
子供たちの周囲で有害物質を使わないようにする働きかけは、自身のお子さんの将来を良くします
化学物質過敏症(CS)のお子さんを休ませずに学校に行かせるためには、少し手間がかかります。
しかしあなたのお子さんに合わせ、有害物質を学校から少なくする働きかけは、今後の将来を担う子供達全体を守ることにも繋がりますので、誇らしく頑張っていきましょう。
なお、少しずつ記事を増やしておりますが、なかなか思うように進んでおらず、必要な情報が載っていないことが多いと思います。
化学物質過敏症(CS)の原因物質も症状も個々によって違いますが、もしかしますと、私が解決策を知っているかもしれません。また、解決策を共に探すことができるかもしれません。
学校生活は待ったがききませんから、もし困ったことがありましたら、お手数ですが下記までご連絡を頂けますと幸いです。
お問い合わせ
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
お子さんが笑顔で学校に通えますように。
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