TOP

墨汁の代替品と使用時の対策 化学物質過敏症の学校生活

墨汁の代替品と使用時の対策 化学物質過敏症の学校生活

 

墨汁の代替品と使用時の対策|化学物質過敏症の学校生活

墨汁の代わり

化学物質過敏症(CS)の子供にとっては墨汁もまた体調不良の原因の一つとなります。

 

ただお友達と一緒に、そして同じように授業を受けたいとお子さんが考える場合には、少しの対策をすることである程度影響を抑えることは可能です。

 

こちらのページでは、私が子供に用意した墨汁の代替品と、学校側にお願いしたことについてご紹介いたします。

 

あなたのお子様が他のお子さんと同じように授業を受けるための参考になれば幸いです。


スポンサーリンク

墨汁でどうして体調が悪くなるの?

書道の授業では、刺激臭を感じたり、気分が悪くなったり、体が重くなったり、熱が出たりする。これは墨汁からの揮発が大きな要因となっています。

 

ご存知の方もおられるかと思いますが、「児童用」と名の付く商品の多くが安価な材料を使用したものとなります。

 

学生時代には一時だけ使用する教材が大変多くありますから、低価格であるということについては助かるのですが、材料の質を落とされますと化学物質過敏症(CS)の子供にとって非常につらい状況を作り出すことになります。

 

墨汁には何が入っているの?

 

「墨汁」と呼んでいる物には、実は「墨汁」と「書液」の2種類あり、児童用の商品の多くは、「書液」となります。

 

書液とは
  • 学校書道で定番のロングセラー商品です。乾きが早く、鮮やかな墨色でにじみにくい液墨です。
  • 学童が毛筆で書を習うのに最も適しています。筆運びが軽く、にじみを防ぎ、筆をいためず、乾きが早いように工夫された良質の液墨です。

引用元:「書液・書写・初心者用墨汁」開明株式会社

 

学校で扱いやすいように乾きやすく工夫された商品のようです。

 

なお墨汁の成分は、工業用カーボンブラックとニカワ、水、香料、凍結防止剤、防腐剤となりますが、書液のほうはニカワの代わりに水溶性合成樹脂が使用されています。そして合成樹脂ベースの方が長く保存が出来る=価格が下がる、ということです。

 

また書液には、粘度の違いによって複数の商品があり、粘度が高い商品は合成樹脂の含有量が多く、ドロッとしています。

 

いずれにしても液体で売られている商品は何であっても基本的に化学物質過敏症(CS)の子供には使えません。

 

普通に暮らしているお子さんであっても、注意を払っていない為に親御さんが気付いていないだけで、影響は出ています。

 

発熱だけでなく、喘息が発症した例もありますから気を付けて頂きたいと思います。

 

では何を使えばよいのでしょう?

墨汁がダメなら墨を擦って用意!それでもダメなら・・

私の子供が書道の授業を受け始める2014年に、化学物質過敏症の子供が使える墨汁の代替品が無いか調べてみたことがあります。

 

そうしますと、墨汁の材料になる黒色の粉末をメーカーから購入した、と言った情報を得ることが出来ました。しかし問い合わせをしたところ、現在販売は出来ないと返答が来ました。

 

そのため当初は、当日の朝に外で子供が硯で墨を磨り、書道セットに付いていた付属のスポイドに取って学校に持って行っていました。ですが、色がしっかり出るまで磨るにはかなりの時間が必要となり、結局は薄い色で書道をしていました。

 

そこでもっと簡単な方法を、と思い絵の具の黒を使うことにしたのです。

 

そして用意しましたのが、絵の具でアトピー・喘息に|子供の体が危ない!でご紹介致しました「まっち絵の具」から出ています大容量の下記の商品です。

 

 

なお通常サイズの絵の具(ベーシック10ml、マッチ12ml)もバラで購入することは出来るのですが、あっという間に無くなることは明らかでしたので、上記の商品を購入しました。おかげで小学校の4年分は多分?大丈夫そうです。(自宅では書初め以外の練習をしないせいかもしれませんが)

 

ただ絵の具でアトピー・喘息に|子供の体が危ない!でもお伝えしていますが、まっち絵の具を屋内で使用しますと、空気が汚れるのが私には感じられます。

 

ですからお子さんが何も感じなかったとしても、ご自宅での使用時には出来るだけ広い部屋で(または扉を開けて空間を広くし)、こまめに換気をし、短時間でなさると良いと思います。

 

では次に学校側にお願いしたことをご紹介いたします。

他のお子さんに負担を強いらずに出来る事

全ての子供達の体の事、そして将来の事を考えれば、全員墨汁も書液も使わないのが一番良い方法です。

 

また、「書道」を学ぶには硯で墨を磨るのが一番良い方法なのだろうとも思います。しかし墨を磨るには時間が掛かりますから、スムーズに授業を行うためには準備時間を短縮できる墨汁が学校側にとっても児童にとっても使い勝手の良い商品になります。

 

また、書液ではなく、せめて墨汁を使用して下さればまだ良いのかもしれませんが、そうなりますと価格が上がり、経済的負担が大きくなります。ですから、他のお子さんや親御さんに経済的な負担を強いらずに簡単に出来る方法として、私は換気をお願いしています。(座席は窓際にして頂いています)

 

しかし1年中窓を開放しての換気が快く受け入れられるわけではありません。

 

冬期間、窓を開放しての換気が難しい場合には?

 

「学校」に関しては常に換気量不足の状態ですから、窓を開けての換気が授業をスムーズに進めるためにもインフルエンザを流行させない為にも本当は必要な事なのですが、書初めの練習をする時期はと言いますと、12月。寒いです。

 

そのため窓を開けることは難しいですから、教室よりは幾分か温度が下がる廊下側のドアを開け、私の子供にはそのドア付近で授業を受ける方法を取って下さることになりました。(温度差によっても換気は促進されます)

 

なお、4年生になってから初めて行われた書初め練習は、窓も扉も閉め切って行われたため、授業を受けた当日の夕方には熱が出、胃腸の調子も悪くなり3日間学校を休むことになりましたが、対策を取って頂いてからは目立った問題は起こっていません。

 

上記の事柄は、担任の先生が変わることなく2年目を迎えていましたので、再度お願いしなくても良いと自己判断したのが原因です。毎回必ず伝えるというのは大事ですね。

体調不良の原因は墨汁だけではない

書道の時間に子ども達が暴露する化学物質は、墨汁だけではありません。実は書道バッグからも多くの影響を受けるのです。

 

いつの頃からなのかはわかりませんが、学校から頂く注文書には、大変子供の興味を引く書道バッグが沢山載っています。そして残念ながらそのどれもが強いにおいがし、化学物質過敏症(CS)の子供だけでなく、全ての子供にとって有害な商品となっています。

 

そしてそれらを皆一斉に広げて準備に取り掛かるのですから、教室の中のTVOC(総揮発性有機化合物)はかなりの量だと推測されます。

 

ですから書初めの練習があった翌日、私の子供の他にも熱を出し休んだお子さんがいましたし、他の学年でも同じように授業の翌日に数名熱を出して休んだと聞いています。

 

また、100円ショップでも墨汁が購入できるそうです。そしてその墨汁からかなり強い刺激臭がするそうですので、そのにおいを吸わせないように気を付ける必要があります。

使っている書道セット

私の子供が使っている書道セットはこちらです。

 

 

一般的な児童用の硯はプラスチックですが、こちらのセットの硯は天然石です。

 

ですから比べてみますと随分重く感じると思います。ただ、本当に墨を磨ろうと思えばプラスチックの硯では不可能ですから、本物に慣れさせておくのも良いかと思います。

 

そして書道用の下敷きですが、こちらも商品はいくつもあります。化学繊維を多用し、撥水加工が施された商品もありますので、においが無いか親御さんが現物で確認をなさるのが一番良いかと思います。

 

なお書道バッグはコットンの生地を使いハンドメイドしました。

 

しっかりと洗えますので、付着した化学物質を落とすことができます。

 

化学物質過敏症(CS)の子供にとって、あらゆるものが体調不良の原因となり親御さんにとっては苦労が多いかと思います。しかし前述致しましたとおり、化学物質によって体調が悪くなることに気付いて貰っていないお子さんも沢山います。

 

気付いて貰えたことは、あなたのお子さんにとってとても幸せなことです。

 

大変ですが、一緒に頑張りましょう。

スポンサーリンク

 

関連記事一覧

化学物質過敏症(CS)学校生活の工夫 はじめに

化学物質過敏症(CS)の症状は学校の先生にはわからない 化学物質過敏症(CS)の子供を保育園や学校に行かせるとき、あらゆるものが反応物となります。建物、教材、洗剤、ワックスや農薬。そして近年問題が大きくなってきましたシャンプーや柔軟剤などに使用される合成香料。親御さん自身が化学物質過敏症(CS)患者であればその苦痛を体感し悩み、お子さんだけが化学物質過敏...

≫続きを読む

教室の配置で空気質に違いが!化学物質の影響を減らす工夫

教室の空気質 化学物質過敏症の子供が無事学校に通い続けることができるかどうかは、各教室の空気の流れも大きく関与してきます。それは数値的には僅かな事かもしれませんが、教室によって空気質に違いはあるのです。そしてその違いは、揮発性有機化合物(VOC)の濃度の違いになります。化学物質過敏症の子供にとっては(だけではあり...

≫続きを読む

化学物質過敏症(CS)の子供対応教科書の使い心地

化学物質過敏症(CS)児童対応教科書 印刷物を開くと目に痛みや鼻をつく刺激臭を感じる。それによりアトピー性皮膚炎や喘息、鼻血などの外から見てわかる(理解をしてもらえる)反応や、頭痛、集中力の欠如、イライラなどの判断が難しい(理解をしてもらいにくい)神経的な反応が出たりするなど、全ての子供達は程度の差こそあれ、印刷物から揮発するインクなど...

≫続きを読む

化学物質過敏症(CS)通信教育の選び方 幼児・小学生用まとめ

化学物質過敏症(CS)が使える通信教育 化学物質過敏症(CS)の多くの子供たちは、柔軟剤やシャンプーに含まれる合成香料に強く反応し、学習の面で言えば、集中力が無くなったり、時には思考能力そのものが働かなくなったりします。ですが逆に言いますと、空気の良い場所では普通の子供と何ら変わりが無い場合が多く、親としては、普通に子供の将来を考えます。...

≫続きを読む

高崎市発!高残効性合成香料(香りマイクロカプセル)に配慮した塾

香りカプセルに配慮した塾 子供が化学物質過敏症(CS)でも、保育園や幼稚園 → 小学校 → 中学校 → 高校 → 専門学校や大学へと、他の子供たちと同じように進むことになります。そこで化学物質過敏症(CS)の子供を持つ親として心配となるのが、子供が無事希望の進路へ進めるように、必要な学力をどのように付けてあげるか、です。化学...

≫続きを読む

化学物質の影響が少ない辞典とは?化学物質過敏症の学校生活

化学物質過敏症(CS)でも使える辞典 学校に行けば必ず必要となってくる辞典。普通辞典は使いやすさなどを基準に選ぶものだと思うのですが、化学物質過敏症(CS)患者の場合には、体調が悪くならない(なりにくい)ことが基準となります。ただ、本人が臭いの少ない辞典をにおいを嗅ぎ確かめながら選ぶことも、逆に化学物質過敏症(CS)患者で無いご両親が選...

≫続きを読む

学校の宿題プリント類はどうする?化学物質過敏症の学校生活

化学物質過敏症(CS)が安全に宿題をする方法 小学校に上がりますと、学校から宿題やお知らせプリントを持ち帰るようになります。お知らせプリントだけでも1か月でかなりの枚数になるのですが、学年が上がるにつれ、宿題プリントの枚数もどっと増えてきます。しかし問題は、プリントにインクや用紙からの揮発性有機化合物(VOC)、建物からのVOC、ヘアケア製品や...

≫続きを読む

可塑剤などの刺激臭が少ない筆箱は?化学物質過敏症の学校生活

化学物質過敏症(CS)でも使える筆箱 これは学校によると思うのですが、私の子供が通っている小学校では、入学当初の筆箱はある程度決められています。出し入れのし易さから、いわゆる箱の形をしており、できるだけ学業に差しさわりの無い柄で、耐久性の面から片側だけが開く形が良い、などです。しかし実際に筆箱を探しに行きますと、明らかに子供たちが一目で...

≫続きを読む

子供に安全で刺激臭の少ない市販糊は?化学物質過敏症の学校生活

化学物質過敏症(CS)の子供が使える糊 沢山のお友達がいて楽しいはずの学校生活。しかし化学物質過敏症(CS)の子供にとって、安全性より利便性やコストを重視して選ばれる教材や文房具類は体調悪化の原因となっています。(本当は化学物質過敏症(CS)の子供だけではないのですが)そして頻繁に使用される文房具の一つである糊も同様です。こちらのページで...

≫続きを読む

刺激臭の少ないセロハンテープは?化学物質過敏症の学校生活

化学物質過敏症(CS)でも使えるセロテープ 保育園でも学校でも、そして家庭でもセロハンテープは無いと困るもの。ましてや多くの市販糊が使えない化学物質過敏症(CS)の子供にとっては、紙などを接着するとき糊の代用品としても使えますので、使えるセロハンテープを用意しておきますととても便利です。こちらのページでは私の子供が使えたセロハンテープをご紹介...

≫続きを読む

墨汁の代替品と使用時の対策 化学物質過敏症の学校生活

墨汁は危険 化学物質過敏症(CS)の子供にとっては墨汁もまた体調不良の原因の一つとなります。ただお友達と一緒に、そして同じように授業を受けたいとお子さんが考える場合には、少しの対策をすることである程度影響を抑えることは可能です。こちらのページでは、私が子供に用意した墨汁の代替品と、学校側にお願いしたことについて...

≫続きを読む

においが少ないカッティングマット 化学物質過敏症の学校生活

カッティングマット 小学校で一括購入される学用品には、化学物質過敏症の子供だけでなく、そうでない子供達も気分が悪くなったり、頭痛を起こしたりする品が多くあります。その中でも、カッターマットと粘土板が裏表に貼り合わせてある工作版からは、大変強いにおいがし、外干しを行っても使えるレベルにはなりませんでした。(後述致しますが...

≫続きを読む

刺激臭が無く、化学物質過敏症(CS)の子供でも安全に使える粘土

化学物質過敏症(CS)の子供が安心して使える粘土 粘土は、保育園では毎日のように、そして小学生になってからは工作のために度々使うことになります。ですが、例え子供用、と表示があったとしても、防腐防カビ剤は使用されていますし、素材そのものが良くない場合も多くあります。こちらのページでは、私の子供が保育園の時に購入し、結局小学校3年生まで、油粘土の代わり...

≫続きを読む

安全性に配慮された紙粘土 化学物質過敏症の学校生活

ホワイトクレーエコ 小学校の授業では、紙粘土も頻繁に使用します。ですがご存知でしょうか?現在では紙粘土の代用品として、樹脂粘土(軽量粘土)が使用されていることを。そしてその樹脂粘土からは強い刺激臭がし、普通に暮らしている子供たちでさえも、「くさい、くさい」と言いながら授業で使っていることを。そのような樹脂粘土は、とても...

≫続きを読む

においが落ち、影響の少ないお弁当箱は?化学物質過敏症の学校生活

化学物質過敏症が使えるお弁当箱 化学物質過敏症やアトピー性皮膚炎・食物アレルギーを持つ子供が保育園や学校に通う際、症状を悪化させない方法の一つとしてお弁当を持たせる必要が出てくることがあります。しかし親御さんご自身に、お子さんと同じレベルの症状が無い場合、お弁当の中身は気にされてもお弁当箱には注意が向けられないことがあります。保育...

≫続きを読む

化学物質臭が少ないスキーウェアは?化学物質過敏症の学校生活

スキーウェアの代替案 化学物質過敏症(CS)にとって、化学繊維(化繊)も撥水加工も体調を崩す原因となります。(他の子供達も同様ですが)ですから今までは傘を除きそれらを身に付けない生活をしてきました。しかし、とうとう学校の授業でスキー学習を行う学年になってしまい、スキーウェアを用意する必要が出てきました。(学校側にはレイン...

≫続きを読む


HOME 安心して使える商品レビュー 化学物質過敏症専用ページ プロフィール お問い合わせ